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『VENGEANCE』 9 



ザクッ!


ポタ・・・ポタ・・・・・


地面に鮮血が垂れ落ちる。
そして


ドサッ


強烈な一撃を受け、自らの血が広がる地面へと崩れ落ちた。
「勝負あり・・・だ。」
勝者は崩れ落ちた相手を見下すでもなく慈悲深い目でどこか相手を気遣うような口調で戦いの終わりを告げた。
戦いの勝利者は・・・・・ミコトだった。


「ぐ・・・なぜ俺が倒れている・・・・い、いったいなに・・が・・」
止めをさしたはずのsyouitirouは一体何が起きたかのか全く理解出来ずにいた。
「最後に放ったブーメランシールドはあなたを狙ったものではありません。」
「方向転換した盾をあなたがかわすのも計算通りでした。あれは剣を自分の元へ弾き飛ばす為に投げたものです。」
「なに・・・」
「僕は本当に色んな人から教えを頂き、様々な事を学ばせていただきました。」
「相手の虚をつく事で“先”を取る。あなたは2人に距離が出来た事、剣を手放してしまった事、盾での攻撃が失敗に終わった事で自分でも気付かないところで油断をしてしまった。」
「あなたが放つ野獣のようなオーラは例え後ろを向いていたとしてもその気配を掴む事は容易です。」
「それに油断が加われば虚をつく事は簡単です。」
「ぐ・・しかし、何故一撃でこの俺様が・・・」
「鍔迫り合いの時にうまくあなたの攻撃、防御を低下する事に成功しました。」
「自分の力だけでは無理でもそれとあなた自身の突撃の勢いを加えたおかげで一撃で決める事が出来ました。」
「それに・・・一撃で駄目ならその後も攻め続けるのみです。」
「・・・・。」
ミコトの言葉にsyouitirouは言葉を返せずにいた。
















『真説RS:赤石物語』      第1章 『VENGEANCE』-9







「あそこまで計算されていたのか・・・。」
mikusukeが一連の流れを見て驚きを隠せずにいた。
「さすがに自分もそこまでは考えていませんでした。」
Stojikovicも同じく驚きを隠せずにいた。


「ふん・・負け恥を晒し続けるわけにもいかん。さぁ、止めをさせ。」
syouitirouが覚悟を決め呟く。
「・・・・・それは出来ません。」
ミコトの一言にsyouitirouが激高する。
「ふざけるな!敗者に恥をかかす気か?!」
「いえ・・・自分は殺し合いなんて続けている限りこの世から戦いが無くなる事なんてないと思います。」
「くく・・ふふふ・・・・・はぁーはっは。ガキが、戦いとはいかに非情になるかだ!今、俺を生かしておけば貴様のその寝首をかかさせてもらうぞ!」
「それなら・・・今よりもっともっと強くなるだけです。」
ミコトの力強い言葉にsyouitirouが言葉に詰まった。


ドォォォォォォン


不意に雷鳴を轟かせ一団の近くに一筋の雷が落ちた。
「くく・・・負け犬とはよく言ったものだ。」
その中から現れた男がそう言葉を吐き捨てた。
「!!」
ミコトはその男の顔を見た瞬間に全身が逆立つような感覚に襲われた。
―落ち着け!自分が今さっき言った事を思い出せ!!
心の底からわく怒りの炎を抑え込むために必死に自分自身に言い聞かせる。
が、すでに抑えきれずに剣を手に取り男むかい飛び出してしまっていた。


ガッ


「く・・・・」
男はミコトの攻撃をいとも簡単に払いのけ大きな手のひらでミコトの顔面を掴んだ。
「少しは強くなったようだがまだまだだな。とりあえずは傷を癒し今よりもっと強くなれ。それから相手をしてやる。」
そう言うと力任せにミコトをStojikovic達の方へと放り投げた。
「く・・。」
「ミコト、大丈夫か?」
放り投げ飛ばされたミコトをキャッチしたStojikovicが声をかける。
「すいません・・・頭に血が昇ってしまって・・・。」
「俺も同じ気持ちだ。だが手負いの今は無理するな。」
Stojikovicがミコトに言い聞かす。
「何をしにきたキラーボーイズ!」
その横でsyouitirouが叫ぶ。
「ふん、もう少しお前が必要みたいなんでな、お使いを頼まれたわけだ。」
「ちぃ・・。」
「では、今回はこれで失礼する。」
「待て!!」
去り行こうとするキラーボーイズをStojikovicが制止する。
「お前も今度一緒に相手してやるよ。」
しかしキラーボーイズはStojikovicの声に見向きもしないままsyouitirouを抱えあげた。
フォン
キラーボーイズとsyouitirouの体を青白い光が包んだかと思うと次の瞬間には姿を消した。


「く・・・。」
Stojikovicが悔しさを露にする。
「ストさん、過ぎた事は忘れましょう。今は何より怪我人の手当てを。」
mikusukeが宥めるように話しかける。
「そう・・・ですね。戻りましょう。」



・・・・
事件から数日経ったとある日
「ミク兄さん、少し大丈夫ですか?」
ルジェがmikusukeの元を尋ねていた。
「あぁ、大丈夫だよ。」
「少しお話が・・」
「そろそろ来る頃だと思っていたよ。これから忙しくなりそうだ。ルジェも無理しないように頑張っておくれ。」
「もちろんです。」


ルジェが正気を取り戻した事でギルド連合を始めとする諸ギルドとレッドアイの関係、そして世界を取り巻く状況が少しずつ複雑に交差していく事となる。
「さて・・・どうするべきか・・・。」
mikusukeはそんな未来を想像しつつ頭を捻らせていた。




















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